渚滑川40年の大ベテランフライフィッシャーがおすすめのニジマス用フライ完全紹介!パターン、シーン別に5パターン マテリアルも教えます!
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橋本 収
1950年紋別市生まれ。小学生の頃からカレイ、コイ、フナ釣りなどを楽しんでいた。30歳で滝上町役場入り。
数年後、渚滑川でフライフィッシングを始める。商工観光課在籍時、同川における国内初のC&Rエリア設定の町事業にかかわり、平成7年にスタート。
定年退職した現在は『NPO法人渚滑川とトラウトを守る会』副理事長を務め、ボランティアで釣り場づくりに取り組む。フライ歴約40年。
北海道と本州ではフィールド事情が異なり、求められるフライも違いがあるはず。
しかし、北海道で出番が多いスタンダードとはどのようなものか。
それを探るため、道内のエキスパートフライフィッシャー橋本収さんに、おすすめの大活躍フライを5本、紹介していただいた。
①スレた大型魚狙いに【エルクヘアカディス】
道内ではビッグドライが注目されるようになって久しい。もちろん渚滑川でも有効なパターンのひとつ。とはいえ、訪れる釣り人の多さによるプレッシャーが常にそれなりにあることから、近年は早期から大型ドライにスレた魚が現われるようになってきた。
このためメインで使うのは、ビッグドライではなくエルクヘアカディス。#10のこのカラーがパイロットフライ。
このほか、反応がよくないときのために、フックサイズは#16まで、カラーはブラウン、ブラックなどのバリエーションを用意している。ティペットサイズは、シビアでなければ極力太めの3X、反応が悪ければ5Xまで落とす。
クリーム系のボディーとエルクヘアのブリーチがパイロットカラー。ドライフライシーズン中、まずはこれで反応を見る。
好みもあるが、エルクヘアの量は意外に重要
マテリアル紹介
フック……TMC100 #10
スレッド……ユニ6/0・ライトケイヒル
ボディー……スーパーファインダビング・各色
ボディーハックル……サドルハックル・ブラウン
ウイング……エルクヘア・ブリーチ
② 8~9月の高水温時の【ビッグカディス】
エルクヘアカディスをメインにしながらも、ビッグドライの出番もある。よく使うのは、渇水、高水温に見舞われる8~9月。シビアなそんな時期は小型フライが有効ともいわれる。
その一方で、活性が下がったヤル気のないトラウトが、捕食効率がよい大型の流下物に思わず反応してしまうことがある。私的には後者の効果を期待し、ビッグドライを選ぶ。とはいえビッグドライは、インパクトがある分、スレるのが早いという面がある。
このため、ビッグドライのカテゴリーでも、パターン、サイズ、カラーなど、複数のバリエーションを用意しておきたい。例を挙げると、シケーダ、ビートル、スパイダー、フォームアントなど。
真横から。下側はスッキリ。ラバーレッグの表面張力で姿勢が安定する。
下側から。ラバーレッグのインパクトは大きく、魅力的な昆虫に見える!?
マテリアル紹介
フック…… TMC8089 #12
スレッド……ユニ6/0・オレンジ
ボディー……スーパーファインダビング・アンバー
ボディーハックル……サドルハックル・ブラウン
ウイング……エルクヘア・ナチュラル
インジケーター……ディアヘア・オレンジ
レッグ……グリズリーフラッターレッグ・ファイヤーオレンジ
③ ドライに反応が悪い時の 【プリンスニンフ】
渚滑川は、シーズンを通じて長期にわたってドライフライの釣りが楽しめる。とはいえ、大勢の釣り人が訪れることなどから、ドライフライへの反応がよくないことがある。
そんなときは、このフライを沈めてみる。するとあっさり釣れることがある。反応がないと魚がいないと思ってしまいがちだが、渚滑川の場合、“いるけど出ない”ということがほとんど。ここにはいると思えるポイントでは、すぐに見切らず、複数の手を試したい。
プリンスニンフは、幅広い状況で活躍してくれる。かつて訪れた米国のマディソンリバーで、ドライフライに反応しなかったブラウントラウトが、サイトでねらった1投目にこのフライをくわえた。そんな経験もあり、長く信頼しているパターン。
真横から。フックはカーブドシャンクのTMC2457を使用。プリンスニンフにはあまり使われないフックだが、このスタイルが好み。
この白いウイングが効果の秘密ではないかと語られている。サイトフィッシングでは視認性の助けになる
マテリアル紹介
フック……TMC2457 #10
スレッド……ユニ6/0・ブラック
ビーズ……ブラスMなど
テール……グースバイオット・ブラック
ボディー……ピーコックハール
リブ……オーバルティンセルS・シルバー
ハックル……パートリッジ・ブラウンバックフェザー
ウイング……グースバイオット・ホワイト
④ 雪代有りのシーズン初期に活躍の【ウエットフライ(シルバーマーチブラウン風)】
雪代により水位が高いシーズン初期、まずはウエットフライの釣りから始める。ドロッパーシステムによるダウンクロス・スイングで。
タックルは9フィート5番、ラインはフローティング。沈みが足りないと感じた場合は、ドロッパーの接続部にスプリットショットを付ける。ウエットフライは、初めて出掛ける川で魚の付き場が分からないときなど、サーチフライ的に試すのに好都合。
渚滑川では、水位が高めのシーズン初期や雨後に出番が多い。ダウンクロス・スイングだけでなく、ニンフ的なナチュラルドリフトも効果的。
パートリッジフェザーやピーコッククイルは抜群の虫っぽさ。ソラックスにヘアズイヤーダブを少量巻いている。
水に入れた状態。パートリッジフェザーが柔らかく動く。
マテリアル紹介
フック……ウエットフック各種 #8
スレッド……ユニ6/0・ブラック
テール……サドルハックルファイバー・グレー
ボディー……フラットティンセルS・シルバー
リブ……オーバルティンセルS・シルバー
ソラックス……ヘアーズイヤーダビング・ナチュラル
ハックル……パートリッジ・グレーネックまたはブラウンバックフェザー
ウイング……ピーコッククイル
⑤ 水性昆虫が少ない時期 & 鮭鱒にも使える【ウーリーバガー】
釣行の8割は地元の渚滑川だが、シーズンごとに、各地のフィールドへも出掛ける。天塩川や朱鞠内湖、屈斜路湖、阿寒湖、カラフトマス&シロザケねらいでオホーツク海など。
このフライは主に湖のリトリーブ用だが、渚滑川でもシーズン初期、ダウンクロス・スイングの釣りで使う。リードにこのフライ、ドロッパーにウエットを結ぶと、なぜかこちらにヒットすることが多い。
水生昆虫が少ない初期は、小魚に見えるこんなパターンが効くのかもしれない。レッドやオレンジ、ピンク、パープルなどで巻けば、ショアのカラフトマス&サーモンにも使える。その場合、コーンヘッドなどのウエイトは入れず、波間に漂うイメージで使う。
テールの絡み防止のため、ボディー後端に短めのフラッシャブーの束を巻いている。
水に入れた状態。すべてのマテリアルが柔らかく、なまめかしい動きが魅力。
マテリアル紹介
フック……バリバス2500V-SE #4
スレッド……ユニ6/0・ライトケイヒル
コーンヘッド……ブラス4.8mm
テール……フラッシャブー・パール、マラブー・オリーブ、クリスタル
フラッシュ・パール
ボディー……メルティーヤーン・イエロー
ハックル……サドルハックル・グリズリーダイドオリーブ
ヘッド……スーパーファインダビング・各色
まとめ
橋本さんが釣り場づくりに取り組む滝上町の渚滑川。キャッチ&リリースエリアが設定されたフィールドとしても有名で近年ではビッグドライによる釣りが人気らしい。
しかし、高齢化が顕著になってきているので若いルアー&フライフィッシャーの方にも訪れてほしい。
北海道の釣り情報を知りたい方は、北海道の釣り情報誌ノースアングラーズをご覧頂きたい。
北海道の川釣りや海釣り、湖釣りの情報をはじめ、入門者向けの情報も紹介しているので幅広いアングラーが楽しめる内容になっている。